自分を取り繕う人とは? どうして成長できないのか
自分にフィットした的確なアドバイスを受けるためには、まず正確な報告が必要なのです。
そこで、仕事を通して成長する人とはどんな人なのかを、多くの人材を見てきた人事担当者や教育担当者に聞いてみました。
そこから見えてきた、「成長したければやってはいけないこと」の一つが、自分を取り繕うことです。
突然ですが、ここで問題です。
新人研修に参加したAさんとBさん。
研修結果の報告から、自ら成長にブレーキを掛けているのはどちらかを考えてみてください。
研修は、街頭に出て、一定時間内に道行く人10人にアンケートを取るというもの。
見知らぬ人に声を掛けることが苦手なAさんとBさんは、時間内に5人にしか声を掛けられず、回答は3人からしか得られませんでした。
そのときの、ふたりの報告はこうです。
Aさん:「なかなか道行く人に声を掛けられず、目標数の回答を集められませんでした」
Bさん:「20人に声を掛けましたが断られてしまい、目標数の回答を集められませんでした」
さあ、あなたは、どちらに今後の成長に不安を覚えますか?
複数の人事担当者、教育担当者が、成長に不安を覚えると答えたのはBさんです。
取り繕う人が成長できない理由
AさんもBさんも、研修の目標を達成できなかったという点では同じ。違っているのは、その報告の仕方です。
Aさんは正直に、
「道行く人に声を掛けることができなかった」
と報告しています。
それに対してBさんは、
本当は十分な人数に声を掛けることができなかったにも関わらず、
「声は掛けたけれど断られた」と、
事実とは異なる報告しています。
研修の途中、一人ひとりの動きをチェックしていなければ、Bさんが嘘をついていることはわかりません。その点で、Bさんがマイナス評価をされることはないでしょう。それどころか、AさんよりもBさんのほうが積極的に動いたという印象を与えるかもしれません。
しかし、嘘の報告をすることで、Bさんは成長の機会を逃してしまっています。
仕事においてなにかうまくいかないことがあった場合、先輩や上司がアドバイスを与えます。
今回のケースでは、
正直に「声を掛けられなかった」と報告したAさんには、
声を掛けるにはどうしたらいいかというアドバイスが与えられるはず。
これに対して、Bさんの報告を受けた先輩や上司は、
断られないようなお願いの仕方を教えるでしょう。
しかし、Bさんの本当の問題は、断られないようにお願いをすることではなく、声を掛けることなのですから、いつまでたってもBさんはそこをクリアすることができません。その場をうまく取り繕ったつもりでも、実は自分で自分の成長のチャンスをつぶしているのです。
あなたはAさん? Bさん? どちらですか?
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